会社にはパソコンやプリンターのほか、冷蔵庫や電子レンジなどの家電製品を置くことも多いでしょう。
それらは電気使用量が高く、起業後に電気容量が足りない事に気づくかもしれません。
自宅をオフィスにした時やテナントを借りる時の分電盤の増設方法や、注意点をお伝えしますので、これから起業しようとしている方も、会社のブレーカーが落ちて悩んでいる方も、電気容量の心配のないオフィスにするために参考にして下さい。
目次
1.自宅をオフィスにした時の分電盤の増設方法
自宅をオフィスにした時は、賃貸でなければ誰かの許可が必要になる事がないので、変えたい時に変えることができるという自由があります。多少の金額がかかる事もありますが、工事が難しいわけではありません。電気容量が足りないのか専用回路が足りないのかで増設方法が変わりますので、それぞれのポイントを見てみましょう。
【自宅オフィスでの電気容量の増設工事】
分電盤を開いたとき、3つのブレーカーが入っています。
- アンペアブレーカー(サービスブレーカー、リミッターなど、会社によって呼び名が違います)
- 漏電ブレーカー
- 回路ブレーカー(安全ブレーカー、子ブレーカーとも呼びます)
電気容量が足りない時は、アンペアブレーカーの交換を行います。電力会社に連絡をして、契約アンペア数をあげてもらえばよいのです。ブレーカーの交換はほとんどの電力会社が無料で行ってくれますが、契約するアンペア数にたいして引込口径の太さが足りない場合は、配線の交換などの屋内の電気工事が発生し、費用がかかります。
また、60A以上の契約が必要であれば、アンペアブレーカーをはずし従量電灯BからCへ契約が変わります。引込線の種類にもよりますが、ほとんどの住宅では漏電ブレーカーの2倍の電力まで使用が可能なので、100A使いたい場合は50Aの漏電ブレーカーがついていることが必要になります。
【自宅オフィス専用回路の増設工事】
回路を増設したい時は、回路ブレーカーの増設を行います。今使用している分電盤に空き回路があればその回路を使用し、専用のコードを引くことで回路を増設する事が可能です。
ない時は増設用の分電盤を設置するか分電盤の交換を行って、そこから専用のコードを引くことになり、さらに費用が掛かる事になります。自宅がオフィスの場合は配線を壁に這わせるなどして、ケーブルカバーをつけるという方法が比較的安価で多くとられているのではないでしょうか。
これらの増設工事は自分の家をオフィスにした場合です。賃貸の場合は前もって管理会社や大家さんに確認しましょう。
2.テナントを借りた時の分電盤の増設方法
テナントを借りた場合は自宅のように自由がききません。費用の高さのみならず、工事ができなくてどうしようもなくなる場合さえあるために、借りる前に分電盤のチェックをおすすめします。
【テナントオフィスの電気容量の増設工事】
オフィスビルなどでは、ビル全体で電気容量が決まっており、さらに区画ごとで使える電気容量が決められています。それ以上に容量を増やそうとし、ビル全体の電気容量が超えてしまう場合は、ビルの変圧器の交換をすることになります。
かなりの費用と大掛かりな工事が必要なために、行う事は難しいでしょう。オフィスビルの電気容量に余裕がありオーナーの許可が取れれば、電気容量の増設工事が可能です。
屋内の電気工事が発生する際は、他のフロアが停電する場合もある為に、オーナーや管理会社と十分に話し合う事が必要です。このような事にならないためにも、テナントを借りる際はあらかじめ分電盤をチェックし、電気容量を確認する事が重要です。また、チェックした時に容量が足りなかった場合、オーナーに増やすことが可能かの確認をとる事が必要となります。
【テナントオフィスの専用回路の増設工事】
専用回路の増設工事は自宅で行うのとほぼ同じと言ってよいでしょう。自宅と違う点はテナントをかりる時には、コンセントがどの回路に繋がっているのかを見極める為、分電盤の回路スイッチをON、OFFして確認する事が大切だという事です。
1つの回路で20A以上の使用がされないようなレイアウトを行ってください。オフィスビルの場合は床の上に配線の空間が作られ、その上に2重に床が作られているOAフロアが採用されているオフィスも少なくありません。
回路を増設する際はOAフロアであれば配線も簡単で、見た目もすっきりします。ない場合は天井裏に配線を這わせる、壁沿いに這わせるなど色々選択肢がある為に、費用や規模によって選択するとよいでしょう。
3.まとめ
電気容量が足りなかったという事を未然に防ぐためには、オフィスで使用する電化製品の消費電力を計算しておくことが大切です。例えばデスクトップパソコンなら2Aから4Aといったように、製品ごとに電気使用量が違います。
買い替えも考慮に入れて最大の消費電力で計算する事をおすすめします。最適な契約を行う事は、安心して仕事ができる環境づくりにもなるのです。